JSAH「シブイ・カツラ」

米『建築史家協会雑誌』(JSAH)に “Shibui Katsura: The Emergence of a Japanese Global Icon 1921-70” が掲載されました。
ぜひご一読ください。

アブストラクト和訳
「カツラ(桂離宮)はシブイ(渋い)」――この根強いイメージの初出は、1960年の『ハウス・ビューティフル』の2つの特集号、「ディスカバー・シブイ」であるとされる。この特集は、日本建築の最高峰である桂離宮のイメージと、「シブイ」という「翻訳不可能」な言葉をからめて、「シンプルのなかにある豊かさ」を語った。桂離宮が世界的に有名になったのは、1920年代初頭、ドイツ語読者圏が独自に日本の木造建築を調査し、日本の建築家や評論家と関わり始めた頃に遡る。一方の「シブイ」は、1930年代以降、日本政府によって奨励され、観光や米国向けの宣伝活動に使われる美学用語となった。戦間期の亡命者による多数の出版物、また、戦後の国際的な情報交換の活発化を経て、この2つの系譜は接触し、西洋のモダニストと反モダニストの間で激しい美学論争を巻き起こした。本研究は、この対立に至る歴史的過程を再構築する。