M. シュパイデル先生レクチャー[前編]

『建築討論WEB』にて、2019年度冬に国立近現代建築資料館で行われたマンフレート・シュパイデル先生レクチャーが公開されました。江本は訳者としてお手伝いしました。

マンフレート・シュパイデル「吉田鉄郎の『日本の住宅』(1935)――馬場氏邸と桂離宮[前編]」

【「はじめに」より】

2019年冬に国立近現代建築資料(NAMA)で行われた「吉田鉄郎の近代 ──モダニズムと伝統の架け橋」展(会期:2019年11月1日~2020年2月11日)のギャラリートーク原稿を、マンフレート・シュパイデル氏の意向により訳出・公開するものである。本展は、この年、2,000枚に及ぶ吉田鉄郎関連図面資料がNAMAに寄贈されることとなったのを機に行われた大規模回顧展である。ここにはNTTファシリティーズ逓信建築アーカイブスの所蔵資料等も併せて展示され、吉田鉄郎(1894−1956)という巨星の建築家像が豊富な史料をもとに示された。また会期中には、ヴァスムート社所蔵の吉田鉄郎資料もNAMAに寄贈された。この一連の出来事は、これからの吉田研究の高まりを予感させるものだった。

シュパイデル氏のレクチャーは、これらを含めた国内外の膨大な史料群をもとに、吉田鉄郎の「ドイツ語3部作」の第1部となる、『日本の住宅』(原題:Das Japanische Wohnhaus, 1935)初版成立の周辺事情をひもとく。1枚目のスライド(Fig. 1)はその表紙である。レクチャー本文に入る前に、じっくり観察してほしい。(江本)